「売上は伸びているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない」。そんな悩みを抱える院長先生は少なくありません。実際に決算書を並べて比較してみると、利益が残る院と残らない院の差は、売上の大きさよりも、保険診療への依存度と支出に対する「考え方」にあることが見えてきます。その2つの視点についてご紹介します。
保険診療への依存度が利益率を左右する
保険診療は単価が制度で決まっているため、患者数を増やさない限り売上は頭打ちになります。一方で、自費メニューの比率を高められれば、同じ患者数でも客単価が上がり、利益率の改善につながります。ただし、自費売上を伸ばすほど消費税の課税事業者になるタイミングが早まる点には注意が必要です。課税売上高が一定額を超えると消費税の申告・納税義務が発生するため、自費比率を上げる戦略と、消費税の試算はセットで考えておく必要があります。「自費を伸ばしたら急に消費税の負担が発生して驚いた」という声も少なくないため、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
すべての支出を「投資」か「浪費」かで見る
人件費、広告宣伝費、スタッフの教育費といった支出は、金額の大小だけで判断しがちですが、本質的に見るべきは「その支出が将来の利益につながっているかどうか」です。同じ10万円の支出でも、利益を見込んでお金や時間を投じているのであれば「投資」であり、目的や効果が曖昧なまま使ってしまっているのであれば「浪費」といえます。
人件費は「コスト」ではなく「投資」として見る
人件費を単なるコストとして削減対象に見てしまうと、スタッフの技術向上やモチベーションの維持が後回しになりがちです。適切な評価・教育とセットで考えることで、人件費は将来の売上・リピート率を高める投資に変わります。
材料費と技術料を切り分けて見る
治療院の原価にあたる材料費(テーピング、オイル、消耗品など)は、売上のわずか数%程度に収まることが多く、飲食業などと比べて原価率の低さが特徴です。つまり治療院の利益の大部分は、施術という「技術料」でできています。この構造を理解せず、材料費だけを見て「原価は低いから利益は出ているはず」と考えてしまうと、実際には人件費や家賃といった固定費に利益が吸収されている実態を見落としてしまいます。原価率の低さに安心せず、固定費全体とのバランスで利益を見る視点が欠かせません。
広告宣伝費は「効果測定」とセットで
広告宣伝費も、出稿すること自体が目的化してしまうと浪費になりやすい費目です。どの媒体からどれくらいの新規患者が来院し、どれくらいリピートにつながったのかを定期的に振り返り、効果の見えない広告は思い切って見直す判断も必要です。
数字の「見える化」が第一歩
投資と浪費を見極めるためには、まず自院の数字を正しく把握できている状態が前提になります。毎月の試算表で費目ごとの推移を追いかけることで、「この支出は増えているけれど、売上にどう跳ね返っているか」を客観的に判断できるようになります。
よくある質問
Q自費メニューを増やしたいのですが、何から始めればよいですか?
Q材料費率が低いのに利益が残らないのはなぜですか?
Q投資と浪費の判断に迷う支出は、誰に相談すればよいですか?
アトラス会計では、毎月の数字を分かりやすく整理し、投資すべき部分と見直すべき部分を一緒に判断できる体制づくりをサポートしています。「なんとなく忙しいのにお金が残らない」と感じている先生は、ぜひ一度ご相談ください。